茨城大学デジタルコレクション

コレクション:徳川斉昭書簡

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 第9代水戸藩主徳川斉昭(1800-1860)から儒学者の佐藤一斎(1772-1859)宛の書簡とみられる。文面が「是迄御国元之学校無之…」で始まっており、天保12年(1841)開校の藩校弘道館創立の指針を相談した書簡と考えられている。元一橋大学教授高橋泰蔵氏から寄贈された。
 徳川斉昭は、諡(おくりな)を「烈公」といい、藤田東湖らを登用して水戸藩の藩政改革を推進し、のちに幕政にも関与した人物である。藩校弘道館の設立も藩政改革の一環で、水戸学の尊王攘夷思想の実践をめざすとともに、実用主義の立場から西洋医学なども積極的に取り入れ、学問による藩士やその子弟の人材育成をはかった。
 宛先の佐藤一斎は、近世後期から幕末にかけて活躍した儒学者で、美濃岩村藩の家老の家の出身。幕府儒官である林家の塾長を務めたのち、幕府の直轄学校である昌平坂学問所の教授となった。その学問は、朱子学と陽明学を折衷したもので、門下に渡辺崋山・佐久間象山・山田方谷・安積艮斎などがおり、幕末期の人材養成にも寄与した。

徳川斉昭書簡
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