コレクション:大高氏記録
水戸城下上町馬口労町(現水戸市末広町)の町年寄大高織衛門(当主は代々大高織衛門を襲名)が、近世後期(文政〜慶応期)の水戸の町の出来事を記した日記や御用留などの町方記録である。全76冊。原本は東京大学史料編纂所に所蔵されており、茨城大学図書館にあるのは写本である(巻49・63欠本)。
伝来の経緯をみると、原本は、明治期に大高家から当時の太政官修史館(東京大学史料編纂所の前身)へ寄贈されたが、現存する写本はその前に旧制水戸高等学校で筆写されたといわれている。昭和24年(1949)新制茨城大学が発足した際に、水戸高等学校図書館から引き継がれた。写本はかなり正確に筆写されており、読みやすい。内容は、嘉永5年(1853)〜明治元年(1868)までの日記15冊、文政期以降の御用留類36冊の他、幕末の出来事の手控えなどの記録24冊である。なお、日記には毎日の寒暖計の測定記録なども記載されていて、当時の気象の状況がわかるようになっている。また、近年は国文学研究資料館の国書データベースで日記15冊を閲覧することができる。