コレクション:鶴田家文書
鶴田家文書は、常陸国那珂郡上河内村(現水戸市上河内町)で代々庄屋を務めた鶴田家の村方文書で、目録の表題件数は422件を数える。
本文書の年代は、文禄3年(1594)から大正15年(1926)にわたる。この内、特に注目される史料として、文禄3年「常陸国那賀郡内上河内村御検地帳」がある。これは、豊臣秀吉により全国規模で実施された検地(太閤検地)の結果をまとめた土地台帳である。検地は、常陸国の戦国大名である佐竹氏の領内に対し、秀吉側近の石田三成を検地奉行として、その部下を派遣して行われた。茨城県内に現存する当時の検地帳は極めて少なく、本文書は中世から近世への土地制度の転換を示す歴史的な史料として大変貴重なものである。
この他、延宝9年(1681)から明治3年(1870)までの人別帳がまとまって残されており、近世村落の人口動態を知る手がかりとなる。また、御用留も享保19年(1734)から文化9年(1812)までほぼ毎年揃っており、当時の地域の状況を窺うことができる。これらの史料は、『水戸市史』や『茨城県史』などの自治体史編纂や研究に数多く利用されている。